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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻5号

1973年11月発行

文献概要

研究

"Combined transsphenoidal-transfrontal approach"による脳下垂体腺腫の手術療法

著者: 佐藤修1 金沢至1 江口恒良1 佐野圭司1

所属機関: 1東京大学脳神経外科

ページ範囲:P.421 - P.429

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Ⅰ.はじめに
 視神経障害がみられる脳下垂体腺腫(pituitary adenoma)の治療法に関する従来の一般的な考え方は,腫瘍の被膜内剔出術(intracapsular removal)により,視神経に及ぼす圧迫を除去し,さらに,残存する腫瘍による再発を予防する目的で,術後,放射線療法を行なうことであった.そして,手術に際しては,敢えて危険を冒して腫瘍の被膜を剔出することは,手術侵襲が大となるため禁忌とされてきた.ところが,近年,脳神経外科手術におけるmicrosurgeryの導入により,安全で,しかも,かなり根本的な手術ができるようになり,脳下垂体腺腫の手術に際しても,鞍隔膜を越えて視床下部方向に発育した部分の被膜をも含め,腫瘍を全剔出しようという考え方も,さして抵抗なく受入れられるようになってきた.その背景には,従来の被膜内剔出術に加えた放射線療法の併用療法によっても,腫瘍の再発は約10%にみられ5,9),しかも,再発例の手術死亡率は高く4,9),また,頻度は少ないが,放射線療法の合併症も問題になっていることを忘れてはならない.とくに,suprasellar extensionの著明なものでは,再発率も高く,このような例には,腫瘍の全別出術が検討されなければならない.
 脳下垂体腺腫の全別出術に関しては,手術術式3),手術成績5)について,すでに報告もあり,その成功例も多くみられている9)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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