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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科1巻6号

1973年12月発行

文献概要

研究

重症脳外傷患者における髄液PO2値の変動とその測定意義—Ⅱ.内頸静脈血PO2および髄液乳酸量との関連について

著者: 桂田菊嗣1 小川道雄1 南卓男1

所属機関: 1大阪大学特殊救急部

ページ範囲:P.469 - P.474

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Ⅰ.はじめに
 脳脊髄液(以下髄液と略する)のPO2(酸素分圧)は脳のoxygen availabilityを示す一指標であると考えられている.それは少なくとも髄液腔と隣接した部分の脳組織と平衡している可能性がつよいし,また種々の条件で組織PO2,と同方向に変化するものと思われる.われわれはすでに前同の第1部の報告7)でこの点を考察し,またそこでは実際に脳外傷患者の髄液PO2を測定した成績の一部を紹介した.重症脳外傷のような急性の脳循環代謝障害の程度を,髄液PO2の測定によってある程度知ることができればきわめて有意義であると考えられる,前回はとくに動脈血PO2やPCO2(炭酸ガス分圧)と髄液PO2との関連について検討した.そしてまず髄液PO2は脳へのO2 transportの量に大きく左右されている事実をのべ,またそれ以外に頭蓋内,脳組織側の病的因子によって影響されていること,したがってその点において髄液PO2の測定が外傷脳の病態や予後を知る手段になり得ることを指摘した.今回はさらに検討を進めて髄液PO2の測定値を内頸静脈血PO2や髄液乳酸量と対比し,髄液PO2と外傷脳の循環代謝障害との関連を追求しようとするものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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