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研究
脊髄血管腫の診断と治療
著者: 斎藤勇1 落合親行1 佐藤修1 佐野圭司1 山田久2 降旗俊明2 矢作保治3 三井香児3 早川勲4 土田富穂4 柳橋万之4 石島武一5 福島孝徳5
所属機関: 1東京大学脳神経外科 2三井記念病院脳神経外科 3都立豊島病院脳神経外科 4都立墨東病院脳神経外科 5東京警察病院脳神経外科
ページ範囲:P.491 - P.502
文献購入ページに移動脊髄の血管腫(angioma of the spinal cord)は,決して稀れな疾患ではない.Yasargil34)は,脊髄腫瘍961例中血管腫は43例(4.35%)で,一方脳,の動静脈奇形が脳腫瘍4,200例中186例(4.42%)であり中枢神経系の血符腫が脳も脊髄においても,同頻度に見られることを報告している.しかし,正しく診断するためには,脊髄の血管撮影が必要であり,とくに,血管腫の導入動脈の位置と病変の拡ろがりを正確に把握するために撰択血管撮影(selective spinal angiography)が行われるようになったのは決して古いことではない(Dichiroら(1967)6),Djinjian(1968)7)).一方,手術的治療を考えてみると,病像を正しく把握して治療をするという意味では,撰択血管撮影の進歩した後に始めて可能なことということは,脳の動静脈奇形を血管撮影なしでは,手術がほとんど不可能に近いことを考えれば理解されよう.最近のmicrosurgeryの導入16)は,この種の病変の手術にも極めて有用な手段となった.
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