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忘れられた世界にも
著者: 高倉公朋1
所属機関: 1東京大学脳神経外科
ページ範囲:P.1137 - P.1138
文献購入ページに移動カラチから160キロ余り,舗装のよくないハイウェーを対向車とすれ違いでとばすのは,乗り心地のよいドライブではない.交通事故も当然のことながら多く,毎日ある頭部外傷のほとんどが致命的である.砂漠が切れてハイデラバードの市内に入ると,突然,大木の緑が目にしみる.ここのLiaquat医科大学を訪ねるのは二度目のことである.Liaquatという名は,この国の独立を宣した大統領の名に因んでいる.1学年の学生数が約350名,卒業を間近に控えた最上級生に1週間の講義を行うことになった.脳神経外科の講座はまだなく,外傷は一般外科で処置されるが,脳腫瘍などは,カラチまでヘリコプターか車で運ばれて行く.しかしカラチにも脳神経外科医は3名,国中でも7名しかいない.
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