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症例
動眼神経吻合術の1例
著者: 岩淵隆1 中岡勤1 石井正三1 前田修司2 石田強3
所属機関: 1弘前大学脳神経外科 2弘前大学眼科 3医療法人愛生会石田病院
ページ範囲:P.1211 - P.1214
文献購入ページに移動最近の脳手術における術式,器材の進歩は,その治療成績の向上に注目すべき成果をあげているが,より積極的な侵襲,適応の拡大ということにもなり,動眼神経の術中損傷というような危険も増大させているように思われる.また傍鞍部,テント切痕部腫瘍の摘出,脳底動脈瘤へ側頭窩経由で接近する際など,もし許されるならば動眼神経を一時切断し,主目的の手術操作終了後,再吻合,修復をと思う場合もありうる.
今回われわれは傍鞍部腫瘍摘出操作中,動眼神経が切断され吻合修復を行ったところ,1年後,患側眼球の内転はほぼ正常範囲まで可能になったが,いわゆる錯接合(aberrant regeneration, misdirection)6,7)の症状を伴っている症例を経験したので,症例を提示するとともに検討を加えてみたい.
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