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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科10巻12号

1982年12月発行

文献概要

総説

脳腫瘍の免疫療法

著者: 高倉公朋1 渡辺卓1

所属機関: 1東京大学脳神経外科

ページ範囲:P.1245 - P.1254

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I.はじめに
 今日,脳腫瘍の免疫療法に新しい時代が切り拓かれようとしている.それはmonoclonal technologyと遺伝子工学の進歩に負うものである.
 脳には,他臓器に見られるようなリンパ系組織は存在しないし,そのうえ血液脳関門があるため,免疫グロブリンのような高分子物質は正常脳組織へは通過しない.したがって,脳は免疫学的に疎外された臓器であると永い間考えられてきた.しかし一方,細菌性髄膜炎で髄液中に多数の白血球が出現することや,脳腫瘍組織中にperivascular cuffingとして多数のリンパ球の集積が認められることなどは,臨床病理学的に脳疾患に免疫現象の関与することを示唆する事実として広く知られている.正常脳における機構と腫瘍や炎症における病態機構とは明確に区別して考えなければならない.脳腫瘍組織には免疫グロブリンのような高分子物質も容易に通過するし,免疫担当細胞も集積するので,脳腫瘍で免疫反応が起こる素地は明瞭にあると考えてよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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