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研究
脳腫瘍患者の末梢血リンパ球のnatural killer activity
著者: 大塚信一1 須田金弥12 山下純宏1 武内重二1 半田肇1
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2現籍: 滋賀医科大学 3高知医科大学 4滋賀医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.1291 - P.1297
文献購入ページに移動natural killer cell(以下NK cell)は,in vitroで,ある種のtarget cellに対してcytotoxicityをもつ正常未感作のリンパ球である.NK cellは,ヒトあるいは他の動物に存在することが知られているが,いまだ生体内での働きについてははっきりしたことはわかっていない.しかし,NK cellが生体内で免疫監視機構に関与し,宿主の腫瘍に対する抵抗性の一部を担っている可能性も示唆されている3,9,15,23).われわれは,担頭蓋内腫瘍マウスに60Co局所照射を行い,腫瘍を退縮させることによって,spleen cellのNK activityの上昇を認めており,このことは腫瘍に60Co照射を行うことによって,宿主の抗腫瘍細胞性免疫が増強したことをある程度示していると考えられる.この実験結果に基づき,臨床上脳腫瘍患者において,治療に伴う腫瘍に対する免疫学的抵抗性の変化をみるという点から,脳腫瘍患者の末梢血のNK activhyを手術の前後および放射線治療開始前後に測定し検討を加えたので報告する.
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