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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科10巻2号

1982年02月発行

文献概要

総説

悪性脳腫瘍に対する術中照射療法と原体照射療法

著者: 寺尾栄夫1

所属機関: 1東邦大学脳神経外科

ページ範囲:P.119 - P.127

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I.はじめに
 化学療法や免疫療法,各種の放射線療法の進歩をうたう華々しい研究成果にもかかわらず,悪性脳腫瘍,なかんずくglioblastomaやanaplastic astrocytomaの治療効果の向上は実に遅々としたものだというのが日常診療にあたっている臨床脳神経外科医の実感であろう.
 1978年に発表されたM.D.Walker15)らによるana-plastic gliomaのCo-operative study報告でも,最も効果のあるとされる手術—放射線療法—BCNUによる化学療法の組み合わせによっても平均生存期間は,完全治療実施症例で40.5週,不完全治療実施症例では34週で,Bailey & Cushingの統計による術後平均生存期間と大差のないことに愕然とするとともに,この腫瘍の難治性を思い知らされるのである.しかしanaplasticgliomaは,悪性腫瘍でありながら中枢神経系の外に転移することはほとんどないという臨床的にも病理的にも際立った特徴をもっており,この点からみれば,本来治療しやすい腫瘍のはずであり,その治療方針は局所での腫瘍制圧に主眼が向けられるべきであろう.この意味では,現在では主として全身的治療法である化学療法よりも,局所的治療法である放射線療法により期待がもてるといえよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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