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研究
悪性脳腫瘍に対するMumps virus療法の試み
著者: 弓取克弘1 半田肇1 山下純宏1 須田金弥1 大塚信一1 清水幸夫2
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2清水病院脳神経外科
ページ範囲:P.143 - P.147
文献購入ページに移動1923年Levaditiにより,vaccinia virusがEhrlichascites tumorにoncolyticに作用する5)と報告されて以来,動物実験においても臨床症例においても,いろいろなvirusを用い多くの試みがなされ,1950年代においては一世を風靡した感がある7),しかしながら腫瘍も殺すが宿主も殺すという感のもてる,virus感染による重篤な副作用も同時に確認され,やがて治療法としては忘れ去られるべき運命をたどったように思われる.
最近,浅田は悪性腫瘍患者に対し,mumps virusを投与し,一過性の中等度発熱以外の副作用は認められず,腫瘍に対して効果の認められた症例を報告した1).そしてその作用機序としてdirect oncolysis以外による可能性も示唆した6).
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