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研究
Interferonによる悪性脳腫瘍の治療
著者: 上田聖1 平川公義1 鈴木憲三1 中川善雄1 伊林範裕1 岸田綱太郎2
所属機関: 1京都府立医科大学脳神経外科学教室 2京都府立医科大学微生物学教室
ページ範囲:P.149 - P.154
文献購入ページに移動2種類のvirusが相前後して,または同時に感染した場合それらのvirusの増殖が相互に抑制されることは干渉現象として古くより知られていたが,これが中和抗体でも,virus粒子そのものでもない液性因子であることをはじめて発見し,virus抑制因子(facteur inhibi-tieur)として報告したのが本邦の長野,小島9)である.その後Isaacs,Lindenmannら4)がinterferonと命名してからその名称が広く使用され,当時進歩しつつあった分子生物学を背景に活発に研究されるようになった,そして1960年後半になりinterferon(以下IFNと略す)の持つ多様な生物活性がvirusのみならず腫瘍に対しても増殖抑制効果を示すことが知られて,より一段と注目と期待が集中するようになった.しかしながらIFNの供給面の不足もあって,抗腫瘍効果については基礎的にも臨床的にも充分な効果判定がなされる段階には到っておらず,脳腫瘍に対する効果についてもほとんど不明である13),今回われわれは9例の悪性脳腫瘍患者に対してヒト白血球interferon(Hu-IFN-α)3)を単独投与し,その効果について検討した.
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