文献詳細
文献概要
総説
悪性脳腫瘍に対するインターフェロン治療の現状と将来
著者: 永井政勝1 新井紀元1
所属機関: 1獨協医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.463 - P.476
文献購入ページに移動1.腫瘍一般に対するインターフェロンの臨床応用 ウイルスの増殖を抑制する一種の蛋白質として1957年Isaacs31,32)によって発見,命名されたインターフェロン(以下IFNと略す)が細胞増殖抑制の作用をももつことは,早くも5年後の1961年Pauckerら52)によって指摘された.その後1970年前後からGresser16-20)の精力的な研究はIFNの抗腫瘍作用を確実に裏附けていった.一方Cantellによる白血球IFNの量産をバックにして1972年より始められたStrander63-68)による骨肉腫に対する臨床応用はその有効性が認められて注目を集め,悪性腫瘍全般に対するIFN治療の火付け役となったのである.1970年代後半にこの白血球IFN(α型,比活性106I.U./mg protein)を用いて欧米で行われた臨床応用の対象疾患は,骨肉腫のほか,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫,白血病,黒色腫,乳癌などが主たるものである(一部,他のタイプのIFNの使用を含む)3,4,11,22,27,43,45,54).
わが国では純度の高い線維芽細胞IFN(β型,比活性107I.U./mg protein)が東レによって量産されはじめた1979年から厚生省の班研究として本格的な臨床応用が開始された81).
掲載誌情報