Neurological Surgery 脳神経外科10巻5号

1982年05月発行

症例

妊娠後期に頭蓋内出血を来たした硬膜動静脈奇形の1例

著者： 陳茂楠¹ 中沢省三¹ 池田幸穂¹ 田崎寿人¹ 志村俊郎¹ 矢嶋浩三¹

所属機関： ¹日本医科大学脳神経外科

ページ範囲：P.549 - P.555

I．はじめに
　硬膜動静脈奇形は，血管撮影の普及と相まって知られるようになってきた疾患であり，横・S状静脈洞部，海綿静脈洞部に多く発生する^24）．その成因や治療法に関し種々の検討がなされているが，いまだ一定した結論は得られていない．
　また妊娠中における頭蓋内出血も脳神経外科の発達に伴い注目されるようになり，現在では非妊娠中の頭蓋内出血と同様に治療してよいとされている^{1,3,10,21,27）}．