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研究
Bromocriptine投与に伴うProlactin産生下垂体腺腫の病理学的変化
著者: 寺本明1 高倉公朋1 福島孝徳2 長村義之3
所属機関: 1東京大学脳神経外科 2三井記念病院脳神経外科 3東海大学病理
ページ範囲:P.619 - P.627
文献購入ページに移動1968年Flückiger and Wagner2)によって開発されたbromocriptineは,prolactin(以下PRLと略)産生腺腫のみならず,種々の原因による高PRL血症に著効を示し,内分泌機能面の治療成績は極めて良好である4).また,一部のPRL産生腺腫では,腫瘍容積の縮小・消失が経験され16),抗腫瘍効果も期待されている.しかし多くの場合,bromocriptineの投与により血中PRL値の低下は認められるものの,腫瘍としての治癒は得られないようである.すなわち,年余にわたって継続投与しても,これを中止すると直ちに血中PRL値の再上昇がみられ,また一時縮小した腫瘍が再燃する場合も経験する.
bromocriptineの作用機序に関する基礎的,実験的検討の研究は枚挙に暇がないが,PRL産生腺腫臨床例に関して病理学的に検索したものは極めて少ない3,10).特にbromocriptineの長期投与により腫瘍が縮小した段階における組織学的検索の報告はみられない.
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