icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科10巻8号

1982年08月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

天幕下動静脈奇形の手術

著者: 松村浩1 三木一仁1

所属機関: 1関西医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.815 - P.821

文献購入ページに移動
I.はじめに
 後頭蓋窩動静脈奇形(以下AVM)といっても,小脳の各部から脳幹に至るまで種々の部位のAVMがあるが,このうち脳幹内部に主座を持つものは手術の対象とならない.個々の部位の手術のすべてを論ずることはできないので,代表的な3つの部位のAVMの平均的症例を取出し,簡単に手術手技の要点を述べることにする.
 まず手術適応決定にあたって注意すべきことは,AVMを描出している血管連続撮影フィルムの1枚が必ずしもAVMの全貌を示しているとは限らないということである,大きなAVMほど,その中で血流の速い部分と遅い部分ができてくるので,速い時期のフィルムと遅い時期のフィルムはAVMの違った範囲を描出している可能性がでてくるわけである.AVMの本当の大きさ,拡がりをみるためには,AVMが写っているフィルムのすべてを,1枚のトレース紙に重ね書きしてみるべきである.1枚のフィルムでみた印象より遙かに大きいことや,思いもよらず脳幹部に大きく入り込んでいることがある.その全容を知った上で手術適応を決定しなければならない.手術をしてみると,術前に予測したよりも実際のAVMは遙かに大きかったという印象を受けるのは,この理由によると考えている(Fig.1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?