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症例
三叉神経痛で発症したアスペルギルス髄膜脳炎の1例
著者: 木矢克造1 迫田勝明1 玄守鉄1 原田廉1 魚住徹1 井藤久雄2
所属機関: 1広島大学脳神経外科 2広島大学第1病理
ページ範囲:P.861 - P.866
文献購入ページに移動真菌感染症は強力な抗生剤の開発,副腎ステロイドホルモンの大最投与,制癌剤や免疫抑制剤の使用などにて近年増加の傾向にある.特にアスペルギルス感染は,種種の真菌感染のうち1976年には1970年に比し158%と最も増加率が高かったとの報告5)もなされている.しかし,中枢神経系におけるアスペルギルス症はいまだ少ないものであり,病態も髄膜炎7,16,19,25),膿瘍17,20),肉芽腫14,29),血管閉塞3,24),動脈瘤形成2)など多彩である.さらに診断面のみならず治療面でも非常に困難な疾患である.今回われわれは,右三叉神経痛で発症し,右上眼窩裂部の骨破壊を伴った炎症性肉芽病変から,髄膜脳炎へと伸展した診断困難であった1例を経験したので報告する.
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