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症例
経眼窩的頭蓋内異物の1治験例
著者: 馬場元毅1 立沢孝幸1 滝沢英夫1 杉浦和朗1
所属機関: 1東京労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.869 - P.874
文献購入ページに移動外傷性眼窩内異物あるいは経眼窩的頭蓋内異物の報告は,眼科的にはもちろん,脳神経外科的にもそれほど稀ではない,一般に,平時では近年の自動車事故の増大に伴うフロントグラスによる顔面外傷の副次損傷として発生する場合が多く10,21),また幼児が誤ってフォークや箸や鉄棒を突き刺したり4,12,19),喧嘩でナイフなどで刺されたりする例11,14)が報告されている,これらの異物は,眼窩の解剖学的特徴などから,眼球損傷を伴うことなしに抵抗の少ない眼窩上壁を貫いて前頭葉底面に達することが多いようである4,16,21).こうした眼窩上壁経由の前頭葉内異物に対しては,一般に脳外科的に前頭開頭による異物除去が行われており,その手技も特に困難ではない.一方,異物が上眼窩裂を経て側頭葉内,あるいはテント切痕部近くにまで達した例11,14),海綿静脈洞や内頸動脈などの損傷を来たした例2,6,15)などの報告があり,これらに対しては各々適切な手術手技が工夫されてきた.
著者らは最近,ビール瓶の小片が上眼窩裂部の眼窩壁を破壊して側頭葉尖にまで達した症例を経験し,特殊な手術手技でガラス片の除去を行った.以下この手術の手技を中心に若干の文献的考察を加えて報告する.
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