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総説
頭頸部領域の人工塞栓術
著者: 滝和郎1 半田肇1
所属機関: 1京都大学脳神経外科
ページ範囲:P.7 - P.15
文献購入ページに移動I.はじめに
頭頸部病変の塞栓術は,1930年,Brooks6)が筋肉片を用いて頸動脈海綿静脈洞(以下CCFと略す)の治療を行ったのが始まりである.以来,塞栓材料,カテーテル,手技の発達により,その適応も拡大し,現在inter-ventional radiology32)あるいはtherapeutic angiogra-phical embolization13)とよばれる一分野をなすようになってきた.これまでに多種類の塞栓材料,カテーテルが開発され,Dick13)の言葉を借りれば,long week endのsupermarket shopping listのように豊富である.これは,塞栓術が一分野をなすようになってきた反面,まだ未発達であることを端的に表現しているように思われる.術者の目的とするところもさまざまである.そこで明確となってくることは,この材料とこのカテーテルで,どういう手技の組み立てを行えば,どの程度の効果が得られるかを常に考えておかねばならないことである.また,ひとつまちがえば,とんでもない結果となることを心に留めておく必要がある.こういった複雑さをもっているが,極めて侵襲の少ない方法で,多大な効果もあげることができる興味深い分野である.
本論文では,現在用いられている塞栓材料,カテーテル,手技,適応となる疾患と,それに対する塞栓法について自験例をまじえて概説してみたい.
頭頸部病変の塞栓術は,1930年,Brooks6)が筋肉片を用いて頸動脈海綿静脈洞(以下CCFと略す)の治療を行ったのが始まりである.以来,塞栓材料,カテーテル,手技の発達により,その適応も拡大し,現在inter-ventional radiology32)あるいはtherapeutic angiogra-phical embolization13)とよばれる一分野をなすようになってきた.これまでに多種類の塞栓材料,カテーテルが開発され,Dick13)の言葉を借りれば,long week endのsupermarket shopping listのように豊富である.これは,塞栓術が一分野をなすようになってきた反面,まだ未発達であることを端的に表現しているように思われる.術者の目的とするところもさまざまである.そこで明確となってくることは,この材料とこのカテーテルで,どういう手技の組み立てを行えば,どの程度の効果が得られるかを常に考えておかねばならないことである.また,ひとつまちがえば,とんでもない結果となることを心に留めておく必要がある.こういった複雑さをもっているが,極めて侵襲の少ない方法で,多大な効果もあげることができる興味深い分野である.
本論文では,現在用いられている塞栓材料,カテーテル,手技,適応となる疾患と,それに対する塞栓法について自験例をまじえて概説してみたい.
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