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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科11巻4号

1983年04月発行

文献概要

総説

仮性脳腫瘍

著者: 石川正恒1 半田肇1

所属機関: 1京都大学脳神経外科

ページ範囲:P.337 - P.350

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I.はじめに
 仮性脳腫瘍とは,頭蓋内圧亢進は存在するが,脳腫瘍などの頭蓋内空間占拠性病変や脳室拡大はなく,髄液も圧以外は正常である症候群をいう.本症候群は19世紀末にQuincke59)にょって漿液性髄膜炎として初めて記載されたといわれており,その後,仮性脳腫瘍57,耳性水頭症72),脳腫瘍のない頭蓋内圧亢進症13),原因不明の脳腫脹67),良性頭蓋内圧亢進症19)といった数多くの同義語で呼ばれている.これらの中でよく用いられるのは仮性脳腫瘍(pseudotumor cerebri)と良性頭蓋内圧亢進症(benign intracranial hypertenson)の2っであるが,これは初診時に脳腫瘍を疑われて検索が進められるためであり,また,頭蓋内圧亢進はあっても多くの例で自然寛解がみられて,経過が良好であるという臨床上の特徴を的確に表現しているためと考えられる.本稿では便宜上,仮性脳腫瘍という名称に統一して述べることとする.
 仮性脳腫瘍自体は脳神経外科的治療の直接の対象となるものではないが,頭蓋内圧亢進症の鑑別診断上重要なものであり,また,頭蓋内圧亢進の病態を考える上でも重要な意義を含んでいる.本稿では,仮性脳腫瘍の臨床的特徴について総括的に述べるとともに,病態についての最近の知見を紹介することにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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