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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科11巻5号

1983年05月発行

文献概要

総説

大脳半球優位—言語機能の側性化を中心に

著者: 大橋博司1

所属機関: 1京都大学精神科

ページ範囲:P.451 - P.460

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I.はじめに
 大脳半球優位cerebral(hemispheric)dominanceという術語がいつ,誰によって使用されたかはさだかではないが,浜中(1980)によると,Head(1926)には見られず,Weisenburg & McBride(1935)には多用されており,一般化したのは第2次大戦以後であろうという.最近ではむしろhemispheric specialization(半球特殊化),lateralization(側性化),asymmetry(非相称)などの術語がよく見られる.
 いずれにしても,このdominance,specialization,la-terahzationに関して,これを言語,行為,認知の諸機能とその障害(失語・失行・失認)や,その他にも情動emotion,注意attention,意識consciousnessの問題,てんかんや機能性精神病などにまで話題を広げるとすると,極めて漠大な量に上り,とうてい一つの展望にまとめることは困難である.また"神経系におけるLatera-lization"については「神経研究の進歩」24巻13号(1980年)にも特集としてとり上げられ,諸家による論述もある.著者もこの問題に関してはたびたび論ずる機会があったので(大橋1962,1965,1977,1980),ここでは主題を言語機能にのみしぼり,左半球だけでなく右半球の言語能力についても,最近の知見をいささか紹介することで,編集者の要求に応えたいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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