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ウィリス輪閉塞症研究,その後—病態の分析と側副動脈叢症候群の提唱
著者: 工藤達之1 福田栄2 山田史2
所属機関: 1慶応大学外科学教室 2静岡赤十字病院脳神経外科
ページ範囲:P.473 - P.479
文献購入ページに移動著者らは本症について"ウィリス輪閉塞症:疾患単位としての病態と病像"と題して一文を草し,本症を独立した一疾患として取扱うべきことを提唱しておいた(1976)10).その根拠となったのは若年発病例についての追跡調査の成績である.それまでの年齢性別発病頻度統計をもととした推測に対して,改めて症例個々の経過の追跡を行って得た具体的資料に基づいてまとめたものである.しかし,当時,対象となりうる症例数が少なく,発病後の経過年数も短かったので,これを仮説として発表し,その末尾に「本症の完全な追究を行うには30年以上の歳月を必要とするため,推測に止めざるを得ない部分が残されている……」と記しておいた.その後の7年間に推測部分を明らかにしようと努力を払ってきたが,今回は,そのうち,出血発作の資料を手がかりに推察をすすめてみたいと思う.
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