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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科11巻6号

1983年06月発行

文献概要

研究

Diltiazemによる脳血管攣縮の治療に関する実験的研究—Cinnarizine,verapamil,nifedipineとの比較

著者: 高木卓爾1 福岡秀和1 神谷健1 永井肇1 堀田健2

所属機関: 1名古屋市立大学脳神経外科 2名古屋市立大学生理

ページ範囲:P.605 - P.611

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I.はじめに
 脳動脈瘤破裂後のくも膜下出血によって発生する脳血管攣縮には臨床上しばしば遭遇するが,その治療は困難で効果的な対策は見いだされていない.著者ら9,24,30)は脳血管平滑筋においても骨格筋と同様,収縮.弛緩の調節機序に直接Ca2+が関与していることを明らかにした.
 過去10年間に,Ca2+拮抗剤8)は心臓血管障害の治療に重要な役割を担うようになった.Ca2+拮抗剤の作用機序はverapamilとnifedipine29)に代表されるように細胞内へのCa2+流入の阻害によって説明される6).このような作用機序は,心筋,心臓伝導系,血管平滑筋で明らかにされている.最近ではCa2+拮抗剤の血管拡張作用は,末梢血管平滑筋に比して脳血管平滑筋でより強いことが示され1,11,20,27),このような特異な作用はpapaverine,nitrites,adenosineにはみられない11,26).さらに,Ca2+拮抗剤は脳血管攣縮の治療にも効果のあることがわかり2,5,23),最近では虚血脳や無酸素症に対して防御作用のあることも動物実験で示唆されている12).Ca2+拮抗剤のなかには血圧にあまり影響を及ぼさない程度の量で,脳血管に作用するものもあるので,脳血管攣縮の治療に期待が持たれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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