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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科11巻7号

1983年07月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

視交叉部下垂体の手術—Transcranial approachについて

著者: 都留美都雄1

所属機関: 1北海道大学脳神経外科

ページ範囲:P.691 - P.700

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I.視交叉部下垂体手術に必要な解剖
1.正常脳下垂体の発生および解剖
 頭神経孔anterior neuroporeが閉鎖するのは,人間では第20一体節期の胚子の時期であるといわれているが,この前神経孔の閉鎖する前に,ラトケ氏嚢Rathke’sPouchと呼ばれる外胚葉の陥入が,口咽頭膜buccopha-ryngeal membraneの口窩のstomodeun屋根のところに見られる.胎児が発育するにつれて,このラトケ氏嚢は脊索notochordの前方で間脳へ向かって発育し,それが成長し延長するにつれて,咽頭の屋根との付着部が漸次狭小となる,それと同時期に,間脳の底から漏斗部infundibulumが下方へ成長してくる.
 妊娠の後半期において,この漏斗部から脳下垂体茎stalkと脳下垂体後葉(神経部)が発生する.その細胞は下垂体細胞pituicytesとなるが,この下垂体細胞は神経膠細胞の性質を有している.神経細胞は将来視神経上核supraoptic nucleiおよび室旁核paraventricularnucleiからの神経分泌物質を後葉に運搬する作用をする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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