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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科11巻7号

1983年07月発行

文献概要

症例

Transient neurological deficitsを主徴とした頸髄症の1手術症例

著者: 池田宏也1 生塩之敬2 早川徹2

所属機関: 1神戸掖済会病院脳神経外科 2大阪大学脳神経外科

ページ範囲:P.757 - P.762

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I.はじめに
 cervical spondylosisや頸椎後縦靱帯骨化(以後cer-vical OPLLと略す)による脊髄症は,われわれ脳神経外科医にとって実地臨床上数多く遭遇する病態である.しかしX線上cervical spondylosisやcervical OPLLが認められても脊髄症としての症状を呈さない患者もかなり存在することも周知の事実である上またcervicalOPLLの大部分はcervical spondylosisを合併しており6),この際患者が示す種々の症状の各々がこれら二者のいずれの病態と対応しているかを決定することに困難なことがある.さらに,これらの脊髄症の神経症状ならびに症候そのものも,脊髄以外すなわち脳や末梢神経病変から発現するものと神経学的に鑑別することにしばしば苦慮することもある.
 最近,われわれは1年間にわたり頻発する一過性の四肢不全麻痺と四肢シビレ感の神経脱落発作を主徴としたcervical OPLLにcervical spondylosisを合併した症例を経験した.当初,椎骨脳底動脈系のTIAを疑わせたが,頸椎椎弓切除術により前記一過性神経脱落発作の消失を得た.その結果cervical OPLLやcervical spon-dylosisによる一過性の頸髄症(cervical myelopathy)がこの患者の主要症状発現の原因と推測されたので,その1例を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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