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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科12巻1号

1984年01月発行

文献概要

研究

急性期虚血脳に対するDopamine療法—皮質脳血流量および体性感覚誘発電位の回復よりみた基礎的研究

著者: 木野本均1 中川翼1 都留美都雄1

所属機関: 1北海道大学脳神経外科

ページ範囲:P.37 - P.45

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I.はじめに
 虚血性脳血管障害により生ずる急性期虚血脳の治療上大切なことは,"虚血脳"が組織学的に非可逆的変化を起こす前に機能回復に必要な適切な血流を供給することにある.虚血脳への血流増加法として,外科的には血栓除去術,浅側頭動脈-中大脳動脈皮質枝吻合術などが行われている.また非観血的方法として,体血圧上昇により減少した脳灌流圧を上昇させるいわゆるinduced hy-pertension法2,6,7,10-12,16,17-20),CO2吸入による血管拡張を利用したinduced hypercapnia法8,9,13-15)などがある.しかしながら過剰な血流増加は脳浮腫を増悪させること,ならびに,急性期の脳血管のautoregulationやCO2反応性の問題などにより,急性期の血流増加の是非についてはいまだ合意は得られていない.
 急性循環不全改善剤として用いられているdopamineは,norepinephrineのprecursorとして,少量ではβ作用,多量ではα作用を有し,腎血管拡張とともに脳血符を拡張させる薬理作用も有しているといわれている.その脳血管拡張作用ならびに血圧上昇作用を期待して,本薬剤は近年虚血性脳血管障害の治療に使用されはじめている.しかしながら,虚血脳におけるdopamineの脳循環,脳機能に及ぼす基礎的研究はいまだ非常に少ない4,5,18)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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