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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科12巻10号

1984年09月発行

文献概要

総説

視床下部性思春期早発症—そのⅠ

著者: 森和夫1

所属機関: 1長崎大学脳神経外科

ページ範囲:P.1113 - P.1117

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I.はじめに
 思春期早発症(pubertas praecox,PPと略す)は病変の存在部位により,脳性,副腎性,生殖器性,特発性に,さらに脳性(中枢性)は器質性とそうでないもの(器質性病変の存在を明らかにできないもの)に分けて論じられてきた.しかし,松果体部や鞍上部の悪性奇形腫にみられるPPは,確かに頭蓋内器質性病変によるPPであっても,その本態は腫瘍からのHCGの産生にあり(Brutonら19619),景山196218)),正規の高次中枢(視床下部や下垂体)はPPの発現に直接のかかわりを持たない(中枢性仮性PPともいわれる).これらは仙骨前部の悪性奇形腫,hepatoblastoma,母体の胎盤由来のinfantile choriocarcinoma(例えばWitzlebenら196835))などと同じカテゴリーに入るもので,一括してgonadotropin産生腫瘍によるPPと分類した方がはるかに便利なように思われる.PPにも最近の知見に基づいた新分類が必要になってきた.
 一方,視床下部性(hypothalamic)PPとは頭蓋内病変によって,視床下部の性中枢が普通よりはやく"目覚めさせられた"ものであって,「脳性器質性PP」という言葉を残すとすれば,それは発生機序の面からHCG産生腫瘍によるもの,視床下部性の器質性病変によるもの,その他(ゴナドトロピン分泌下垂体腺腫やその他機序不明のもの)に3大別できよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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