icon fsr

文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科12巻10号

1984年09月発行

文献概要

研究

前脳動脈瘤病変と脳動脈瘤の新生

著者: 池田清延1 早瀬秀男1 林実12 山本信二郎1

所属機関: 1金沢大学脳神経外科 2福井医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.1151 - P.1158

文献購入ページに移動
I.はじめに
 脳動脈瘤の発生原因のうちで,動脈壁の先天性または後天性変化と血流動態は重要な因子である.成人の脳動脈瘤の発生および増大機序には動脈硬化症と高血圧が深く関与するとされている27).脳動脈瘤の組織学的特徴として,中膜・内弾性板の欠損はよく知られている.すなわち,血管内圧上昇に抗してこれを緩衝する働きをなす中膜や内弾性板の変性や欠損が動脈瘤発生の可能性を高めると考えられている12,25,27).Stehbens27)はこれらの組織学的変化を伴った動脈分岐部に漏斗状拡大,壁の局所的菲薄化および小膨隆を認め,動脈瘤形成初期の形態変化としている.Hasslerら15)は剖検所見よりjunctional dilatation部に内弾性板や中膜の欠損を認め,これを前脳動脈瘤病変(pre-aneurysmal lesion)と呼び,動脈瘤に成長する可能性のあることを強調した.
 今回,われわれは柄部クリッピング術後に同一部位より脳動脈瘤が再発した症例,junctional dilatationが脳動脈瘤化したと思われる症例,そして多発性脳動脈瘤で術前の血管写にて認められなかった部位に2年後,脳動脈瘤の新生をみた症例の3症例を経験した.この報告ではこれらの症例の分析により,脳動脈瘤の新生と増大原因について若干の検討を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?