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研究
一方弁入りエクステンションチューブを使用した持続脳脊髄液ドレナージシステム
著者: 工藤忠1 荒川均2
所属機関: 1横浜旭中央総合病院脳神経外科 2ダウ・コーニング株式会社
ページ範囲:P.1161 - P.1164
文献購入ページに移動脳室または腰椎くも膜下腔からの持続脳脊髄液ドレナージは,水頭症,脳室炎,シャント感染症,脳室内出血,破裂脳動脈瘤,頭部外傷,外傷性または術後脳脊髄液漏,後頭蓋窩腫瘍など多くの疾患に利用されている5,6,8).本邦で使用されている持続脳室ドレナージセットは数種類に及ぶが,原理的にはいずれも脳室と脳脊髄液の流出点との位置の差による落差を利用して流出量および脳圧を調節するものである.このため持続脳室ドレナージ中には患者の頭部と脳脊髄液の流出点を一定の位置に保つ必要があり,患者はベッド上安静を強いられ,坐位,立位をとることもできなくなる.患者が昏睡状態の時や,絶対安静が必要な状態の場合には問題はないが,意識も清明で歩行も可能な場合には,長期間にわたり体動や運動を制限されることは肉体的および精神的苦痛を伴う.
1967年WhiteらはSpitz-Holter弁を使用して,患者が坐位や歩行も可能な方法を報告したが7),Spitz-Holter弁が手に入りにくかった事情のためか,本邦ではあまり普及しなかった.Spitz-Holter弁を使用しても,脳室炎やシャント感染症などにより脳脊髄液中の蛋白量が多い場合や,くも膜下出血,脳室内出血など脳脊髄液中の血液量が多い場合などでは,一方弁が通過障害を起こしやすく,しばしば一方弁を取り換えなければならないが,これには無菌操作下での比較的繁雑な処置を必要とした.
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