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解剖を中心とした脳神経手術手技
拡大中頭蓋窩法(慶大変法)による聴神経腫瘍手術
著者: 塩原隆造1 戸谷重雄1 神崎仁2
所属機関: 1慶応義塾大学脳神経外科 2慶応義塾大学耳鼻喉科
ページ範囲:P.1239 - P.1245
文献購入ページに移動1777年Sandifort22)がはじめて聴神経腫瘍の剖検報告をし,1894年Ballance3)が最初の手術成功例を報告して以来,約1世紀の間,聴神経腫瘍手術には多くの工夫が加えられ今日に至っている6,12,15,19,21).現在では聴神経腫瘍へのアプローチは基本的には経後頭蓋窩法,経迷路法,経中頭蓋窩法が行われ,他にこの三者を組合わせた方法が行われている.一方,1949年Atkinson2)が聴神経腫瘍手術における前下小脳動脈の重要性を強調して以来,聴神経腫瘍の手術死亡率は低下したが,手術顕微鏡を1961年House11)が経迷路法に,1965年Rand & Kurze20)が後頭蓋窩法に導入してからはさらに手術成績の向上をみるに至っている.しかし手術成績の一層の向上を目的として,1970年King & Morrison15,16,18)は経迷路法の長所をとり入れた経迷路経天幕法を行い1.7%と低い手術死亡率を得,Bochenek4)はさらにこれをmo-difyし,むしろ経中頭蓋窩法を主体とした拡大中頭蓋窩法を行った.
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