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研究
徐放性ペレットによる血管拡張剤の局所投与について—基礎的研究・第2報
著者: 奥村禎三12 織田祥史1 有光哲雄1 森惟明1
所属機関: 1高知医科大学脳神経外科 2京都大学脳神経外科
ページ範囲:P.1265 - P.1271
文献購入ページに移動脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血には約40%の頻度で脳血管攣縮が続発するが15,22),ネッククリッピングの如何にかかわらず,攣縮の存在する症例の予後はそうでない例よりも不良である10,12,13,22).この脳血管攣縮に対して種々の薬剤による治療が試みられてきたが,いずれもまだ決定的な効果をあげるには至っていない8,16-18,26).今まで多くの研究者によって種々の血管拡張剤の脳血管攣縮に対する有効性が報告されている1,3,7,8,11,14-16,18,21,26,27)が,その共通した欠点として作用時間の短いことが挙げられる.
著者らは,すでにシリコン基剤を用いた塩酸パパベリンの徐放性剤を作製し,その基礎実験につき報告した20).今回,Ca++拮抗剤である塩酸ジルチアゼム(Herbes-serR,田辺,力価は塩酸パパベリンの3-6倍),および塩酸ニカルジピン(PerdipineR,山之内,力価は塩酸パパベリンの100-300倍)にて同様の徐放性ペレットを作製し,in vitroにおける放出実験を行ったので,既報の塩酸パパベリンの成績と比較対照して報告する.
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