文献詳細
文献概要
症例
急性外傷性水頭症
著者: 酒井英光1 岡田耕造1 田辺貴丸1 森井誠二1 高木宏1 大和田隆1 矢田賢三1
所属機関: 1北里大学脳神経外科
ページ範囲:P.205 - P.209
文献購入ページに移動頭部外傷後の脳室拡大は,通常重症脳挫傷例に続発し,受傷後数日から数週後に発生すると報告されている1,2,5,6,8,11,13).しかし頭部外傷後,数時間以内に急速に脳室拡大が進行した症例の報告は極めて少ない3,6,14).したがって,頭部外傷後,早期に神経症状が急速に悪化する症例では,一般にその原因が頭蓋内出血や脳挫傷に求められており,進行性脳室拡大は注目されていない.また外傷後早期に脳室拡大を示す症例では,合併する脳損傷の程度が強いために,脳室ドレナージが無効であると報告されている2,4,6).
最近われわれは,受傷時の意識障害が怪度であり,以後,数時間以内に急激な神経症状の増悪をきたし,CTscan上,頭蓋内出血や脳挫傷を伴わず,進行性脳室拡大のみを示した2小児例を経験し,脳室ドレナージのみにより予後良好に救命しえたので報告する.
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