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研究
セラミック(Bioceram®)の頭蓋形成術への応用の可能性について—基礎的研究と臨床応用
著者: 奥村禎三1 織田祥史1 森惟明1 内田泰史1 森本雅徳1 上村賀彦1 清家真人1 村田高穂2 有澤雅彦3
所属機関: 1高知医科大学脳神経外科 2大阪市立大学脳神経外科 3呉共済病院脳経神外科
ページ範囲:P.246 - P.252
文献購入ページに移動急性頭蓋内圧亢進に対する治療のうちで,外減圧術は有効な方法の1つであるが,外減圧術をはじめとする治療が効を奏し頭蓋内圧亢進の急性期を乗り越えた際に,残された骨欠損により種々の問題が生じてくる.美容上の理山2,24)もさることながら,リハビリテーション上,さらには社会復帰に際し骨欠損部の脳保護が必要になってくる2,20,24).また,骨欠損部の疼痛やsyndrome ofthe trephinedと呼ばれるpsychosomaticな症状を訴えたり,陥没による脳そのものへの圧迫による症状(sunk-en flap syndrome)などを生じることがある2,25).また,小児例では骨膜から骨形成が生じるといわれる2のものの脳の成長に伴い骨欠損部の膨隆を生じ,ひいては進行性の脳室拡大や骨欠損部以外での脳萎縮をきたすこともあるといわれる2).
以上のような理由で頭蓋形成術が必要になるが,この際,補填材料の選択がひとつの問題となる.補填材料として必要なことは,その強度,形態および生体組織へのなじみ,周囲の骨形成を阻害しないことなどである.現在,補填材料としては,種々の条件下で保存した患者自身の除去骨弁をはじめとした自家骨などの生体材料と,チタンをはじめとする金属,およびアクリルレジン(methyl methacrylate)などの非生体材料が用いられている2,20,24).
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