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研究
脳脊髄血管の神経支配に関する形態学的研究—I.脳血管
著者: 板倉徹1 中北和夫1 亀井一郎1 仲寛1 中井國雄1 駒井則彦1 今井治通2 木村宏2 前田敏博2
所属機関: 1和歌山県立医科大学脳神経外科 2滋賀医科大学解剖
ページ範囲:P.282 - P.288
文献購入ページに移動各種脳血管障害の病態生理を考える上で,脳循環調節機能は極めて重要な問題である.脳循環の調節は,従来,化学的因子がその主役を担っていると考えられてきたが,近年,神経性調節の重要性が強調されるようになった.
脳血管壁に神経線維が存在することは,1664年Willisにより初めて明らかにされたといわれているが,1960年代のスウェーデン学派によるアミン組織螢光法の確立により10),脳血管神経支配の研究は一層活発となり,脳血管にアミン性線維が豊富に存在することが明らかとなった11,28).さらにアセチルコリンエステラーゼ(AChE)染色によりコリン性線維の存在も明らかにされた2,6).また局所脳血流の研究の進歩により,これらアミン性,コリン性線維の生理的役割が明らかにされつつある22,23,45,46).さらに近年,免疫組織化学が発達し,脳軟膜血管にはsubstance P含有線維や,vasoactive intestinal pep-tide含有線維も存在することが証明された9,13,24,43).
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