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研究
破裂脳動脈瘤による脳血管攣縮の脳梗塞防止を目的としたBarbiturate療法の適応,実際と臨床成績
著者: 宮城航一1 石島武一1 佐藤文明1 窪田達也2 桜谷憲彦2
所属機関: 1自治医科大学脳神経外科 2自治医科大学集中治療部 3現籍 琉球大学脳神経外科 4都立神経病院脳神経外科 5札幌医科大学麻酔科
ページ範囲:P.303 - P.310
文献購入ページに移動barbiturateの脳保護作用を応用して,臨床例で頭蓋内圧亢進,脳虚血性疾患に対するbarbiturate療法(以下B-療法と略)が試みられている5,7,9,12,25).すでにわたしたちも頭蓋内圧亢進,脳低酸素症に対するB-療法の12例の臨床報告を行つた14,15).そのうち5例は脳血管攣縮が原因で脳虚血をきたした症例で脳梗塞防止を目的にB-療法を行った症例であった.このなかで,脳主幹動脈の完全閉塞は交通動脈を介してのcross flowのなかった例はB-療法は無効であった.Rockoff22)やHoff7)の報告でもpermanent occlusionの症例は無効に終わっている.しかし脳血管攣縮は完全脳虚血をきたすものではなく,時間が経てば寛解するものである.したがって脳虚血から脳梗塞になるまで臨床的に対応できる時間的余裕が存在し,また脳血管攣縮の存在する期間,脳を保護してやればよく,脳梗塞をきたすほどの脳血管攣縮症例はB-療法のよい適応と考えた.
破裂脳動脈瘤による脳血管攣縮に対するB-療法は,わたしたちの報告以外にSamsonら25)の3報告5,9)があるが,必ずしもよい結果は得られていない.その理由は,① どのような脳血管攣縮症例がB-療法の適応か,② B-療法の管理方法,③ B-療法の合併症の対策が成績に大きく関与していると考えた.この諸点について,わたしたちが以前発表した14)5例に加え,合計11例の経験をもとに検討を加えた.
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