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研究
頑痛症に対する視床中継核刺激—臨床効果と髄液中β-endorphinの変動
著者: 坪川孝志1 山本隆充1 片山容一1 西本博1 平山晃康1 渋谷治男2
所属機関: 1日本大学脳神経外科 2国立武蔵療養所神経センター
ページ範囲:P.459 - P.467
文献購入ページに移動1969年Reynolds16)が,ネズミの中脳水道中心灰白質刺激により著しい除痛効果の得られることを報告した.Terenius20)(1974),Cox6)(1975)らは,中脳水道中心灰白質近傍にmorphine様物質(enkephalin,endorphin)が分布していることを明らかにし,Yaksh27)(1976)らによって,中脳水道中心灰白質近傍への微量モルフィン注入により同様の除痛効果が得られることが確認された.さらに,Akil3),Hosobuchi1,10)らは,臨床例において中脳水道中心灰白質近傍の電気刺激により,髄液中opioid peptidesが増加することのみならず,morphineantagonistであるnaloxoneの投与により除痛効果の消失することを報告し,脳内opioid peptideのreleaseが中脳水道中心灰白質近傍刺激による除痛機序において,重要な役割を担っているものとした.
一方,Mazars15),Turnbull25),坪川23,24)らによって,各種の頑痛例に対する視床中継核刺激による除痛効果が確認されているが,除痛機序については報告者により異なった機序が考えられており,髄液中モルフィン様物質の変動についても報告されていない.
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