Neurological Surgery 脳神経外科12巻4号

1984年03月発行

症例

Intramedullary holocord tumor—1剖検例と文献的考察

著者： 二階堂雄次¹ 大西英之¹ 平松謙一郎¹

所属機関： ¹国立大阪南病院脳神経外科 ²現籍　清恵会病院脳神経外科

ページ範囲：P.523 - P.528

I．はじめに
　脊髄腫瘍にはしばしば広範囲に発育するものがあり，なかにはほぼ全脊髄にまで及ぶものも存在する．このような例は，holocord tumorあるいはentiree cord tumorなどの名称で報告されているが，実際に経験されることは稀であり，またその診断および治療という観点からも問題の多い疾患である．著者らは，第4頸髄より脊髄円錐に至る嚢腫性脊髄星細胞腫の1例を経験し剖検を行う機会を得たので，文献的考察を加えて報告する．