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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科12巻5号

1984年04月発行

文献概要

研究

慢性硬膜下血腫における血腫腔内出血量

著者: 伊藤治英1 下地隆1 木村誠1 前田優1 上原哲1 山本信二郎1

所属機関: 1金沢大学脳神経外科

ページ範囲:P.563 - P.568

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I.はじめに
 軽微な頭部外傷後3週以上経過した症例,または頭部外傷の既往がない症例において,手術中,硬膜下に血性液が被膜に被包されて貯留しているのが確認されたとき慢性硬膜下血腫と診断される.血性貯留液は簡便な表現であるが,血性と水様液との移行があり,鑑別に迷う例がある.Schurrは硬膜下貯留液中の赤血球数が100×104/mm3以上を血腫とし,それ未満を水腫と定義した11).しかし赤血球数が10×104/mm3,ヘモグロビンが0.3g/dl以上の貯留液は赤く,血性と言うべきである.したがって血腫と水腫の境界としては10×104/mm3またはヘモグロビン0.39/dlが妥当である.慢性硬膜の多くはCTスキャンでのHounsfield単位から貯留液が血性と読影され診断が術前に可能となるが,稀に血腫と水腫の区別が困難な症例に遭遇する.慢性硬膜下血腫の条件としての血性貯留液中の赤血球は受傷直後の出血,発症時の出血,または発症後の持続的,断続的出血かは未解決の問題である.51Cr-ラベル赤血球を使用して1日当りの出血量の算出が可能となり,慢性硬膜下血腫における出血の病態を解明する目的で臨床症状や神経放射線学的所見と対比して分析する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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