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文献概要
症例
巨大な脳石灰化を伴った脳日本住血吸虫症の1例
著者: 森本哲也1 竹村潔1 榊寿右1 堀浩1 横山和弘2 京井喜久男2 内海庄三郎2
所属機関: 1国立奈良病院神経外科 2奈良県立医大脳神経外科
ページ範囲:P.601 - P.606
文献購入ページに移動日本住血吸虫症は,本邦において比較的頻度の高い寄生虫疾患である.他の寄生虫疾患と同様に好発地域があり,本疾患の脳合併症の頻度は少ないため,脳神経外科医が日常診療において本疾患に遭遇することは極めて稀である.しかしながら,脳日本住血吸虫症は急性期から慢性期のいずれの時期にも,手術療法を必要とする可能性があり,常に念頭に置かねばならない疾患である.
一般的に,脳寄生虫疾患では頭蓋内に石灰化病変を伴うことが多いとされているなかで,脳日本住血吸虫症ではその頻度は非常に少ないといわれている15).ところが私たちは最近,巨大な脳石灰化を伴い,慢性期の臨床症状出現までに19年という長期を要し,更にその後10年経過して脳局在徴候が現われた脳日本住血吸虫症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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