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研究
脳・脊髄病変に対する術中超音波法
著者: 町淳二1
所属機関: 1イリノイ大学医学部外科 2イリノイ大学医学部脳神経外科
ページ範囲:P.915 - P.921
文献購入ページに移動I.はじめに
脳・脊髄病変は血管造影やCT scanなどの技術の進歩によって,極めて正確に検出されるようになった.しかし,これらの病変の手術中において,しばしば病変の正確な存在部位の決定が困難なことがある.脳内病変の術中での部位決定のために,CT scanを利用した定位的な方法も報告されているが1,12),これは術中診断法としては手技の繁雑さなどの短所を有する.これに対して超音波法は,手技の単純さや安全性に加えて,多くの有用な情報を提供することから,外科領域の多くの術中診断に使用されはじめている.脳外科の分野においては,超音波法による脳の検査は泉門を通した方法(transdural ultrasonography)4,5)が新生児や乳児に対して可能だが,手術による頭蓋骨除去によって成人にも実施できる9,11).さらにこの超音波法を術中に応用し,脳などを直接scanningすることによって,超音波法は非常に有効な術中での診断法となりうる.
1950年にFrench,Wildらは8),A-mode超音波法を用いた脳の検査を初めて行っている.彼らは皮質下脳腫瘍の部位決定のために,死亡した患者の脳に対して直接scanningを実施した.1960年代には,脳腫瘍や脳内血腫の検索のために,A-modeによる超音波法の術中への応用が数多く報告され6,14,15,19,21),脳病変に対する超音波法による術中診断の有用性が提唱された.一方,B-mode超音波法の脳外科の術中への応用は1965年よりはじまったが10),近年のB-mode real-time装置の改良に伴い,ここ数年,脳外科領域における術中超音波法が注目を集めている.
脳・脊髄病変は血管造影やCT scanなどの技術の進歩によって,極めて正確に検出されるようになった.しかし,これらの病変の手術中において,しばしば病変の正確な存在部位の決定が困難なことがある.脳内病変の術中での部位決定のために,CT scanを利用した定位的な方法も報告されているが1,12),これは術中診断法としては手技の繁雑さなどの短所を有する.これに対して超音波法は,手技の単純さや安全性に加えて,多くの有用な情報を提供することから,外科領域の多くの術中診断に使用されはじめている.脳外科の分野においては,超音波法による脳の検査は泉門を通した方法(transdural ultrasonography)4,5)が新生児や乳児に対して可能だが,手術による頭蓋骨除去によって成人にも実施できる9,11).さらにこの超音波法を術中に応用し,脳などを直接scanningすることによって,超音波法は非常に有効な術中での診断法となりうる.
1950年にFrench,Wildらは8),A-mode超音波法を用いた脳の検査を初めて行っている.彼らは皮質下脳腫瘍の部位決定のために,死亡した患者の脳に対して直接scanningを実施した.1960年代には,脳腫瘍や脳内血腫の検索のために,A-modeによる超音波法の術中への応用が数多く報告され6,14,15,19,21),脳病変に対する超音波法による術中診断の有用性が提唱された.一方,B-mode超音波法の脳外科の術中への応用は1965年よりはじまったが10),近年のB-mode real-time装置の改良に伴い,ここ数年,脳外科領域における術中超音波法が注目を集めている.
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