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研究
椎骨動脈・後下小脳動脈分岐部動脈瘤の外科—直達手術が困難であった症例の検討と手術手技の工夫について
著者: 長澤史朗1 橋本信夫1 米川泰弘1 半田肇1
所属機関: 1京都大学脳神経外科
ページ範囲:P.933 - P.941
文献購入ページに移動椎骨動脈領域に発生する動脈瘤は全脳動脈瘤中の1%以下であり,なかでも正中線近傍あるいは椎骨動脈末梢部に存在する動脈瘤は一般に直達術が困難である8,11).これら動脈瘤につき,いくつかの手術法が試みられてきた1,4,6-9,12,13,16,18).特に斜台の下1/3の部分をno man’s landとよび,この部分の動脈瘤に対してテント上あるいはテント下からの接近は困難で,経斜台法による直達術の可能性を追求していたDrake2)も,最近は一側後頭下開頭法を採用している3).
動脈瘤の手術方法(体位,接近法)は術者の経験,患者の状態,動脈瘤の性状などにより決定されるべきものであるが,術者が考案した手術手技上の工夫およびそれを実施するに至った根拠は,採用している手術方法の相違に関係なく参考になろうし,椎骨動脈領域動脈瘤の頻度が小さい故に発表する価値があると考えられる.今回,著者らは京大病院脳神経外科で経験した動脈瘤をまとめ,到達困難であった症例の血管撮影と手術所見の関連につき検討を加えた.また最近施行している手術手技上の工夫につき言及する.
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