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総説
脳腫瘍成長解析のあゆみと展望—特に抗Bromouridine単一クローン抗体による迅速解析法について
著者: 長島正1 星野孝夫1
所属機関: 1カルフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科
ページ範囲:P.1007 - P.1018
文献購入ページに移動1953年,HowardとPelc33)により,細胞の増殖の過程が明らかにされてから,正常組織および腫瘍などの異常組織の増殖形態の研究は,成長解析学(Cell Kinetics)としてその後多大な発展をとげてきている,特に1957年,米合衆国Brookhavenにて3H-thymidineが合成され,さらにオートラジオグラフィーの進歩により解析が容易にできるようになったことは,この方面での偉大な貢献といえよう.1959年にQuastler,Sherman45)らによりPLM曲線(percent labeled mitosis curve)による成長解析方法論の確立後は,矢継ぎ早に実験腫瘍あるいは様々なヒト腫瘍についての研究成果が報告されるようになった.14C-thymidineが合成できるようになってからは,3H-thymidineと併用することによる二重標識法など57),変わった面からの研究もできるようになり,またvinka alkaloid系の細胞分裂阻止剤を用いることにより,不充分ながらさまざまな成長解析に必要な係数も得られるようになった.
本総説では,ヒト脳腫瘍の成長解析を中心に現在までの知見を整理するとともに,各方法の一長一短ならびに最近開発された抗BUdR(bromodeoxyuridine:BrdUrd)単一クローン抗体19)を使っての成長解析の方法を紹介することにする.
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