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研究
脊髄損傷におけるフリーラジカルと電子伝達系の障害—Part 2
著者: 林成之1 坪川孝志1
所属機関: 1日本大学脳神経外科 2マイアミ大学
ページ範囲:P.1039 - P.1046
文献購入ページに移動地球上のあらゆる動物の起源となった細胞の形成は,地球の歴史の中において,起源前15億年をさかのぼる遠い昔,酸素を必要とした微生物と酸素を必要としない微生物の共存によってなしとげられたとされ,前者は主としてミトコンドリア,後者は原形質となって細胞が形成されている.したがって生体内のあらゆる臓器も,酸素をエネルギー源産生に使っているミトコンドリアの正常な働きなくしては,その臓器の機能を保つことは基本的に困難である.
これまで,脊髄損傷の病態形成に関する数多くの研究がなされてきたが,いずれも細胞の環境を形成する脊髄循環について主に注目され19,21,26),細胞の直接機能に結びつく代謝障害については検索技術がいまだ充分に確立していないこともあって,その詳細な検討がなされず,わずかにanaerobic metabolismの状態が脊髄損傷部に惹起されること4,25)が推定されていたにすぎない.
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