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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科13巻1号

1985年01月発行

文献概要

研究

局所脳虚血に対するNaloxoneの効果

著者: 古林秀則1 林実1 山本信二郎2

所属機関: 1福井医科大学脳神経外科 2金沢大学脳神経外科 3ウェスターンオンタリオ大学

ページ範囲:P.45 - P.50

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I.はじめに
 opiate receptorが脳において確認されて以来17,脳組織内に存在しモルヒネ様活性を有するペプチド,すなわちendorphinの研究が盛んになった.naloxoneはこのreceptorにopiateと競合的に作用する拮抗剤である.endorphinsは鎮痛,下垂体ホルモン分泌,情動,体温調節などの作用に関与するが,HoladayとFaden10)はendorphinsがendotoxinショック発現の病態生理に関与すると考え,endotoxinとopiateの拮抗剤であるnaloxoneを同時にラットに投与してendotoxinショックを防いだ.
 BaskinとHosobuchi2)は脳虚血性疾患の2症例にnaloxoneを投与し,神経症状の著明な改善を認めた.またこの症例にモルヒネを投与し,片麻痺の増悪を観察した.naloxone投与前の脳脊髄液の検索でβ-endorphinの上昇も観察している.以来,脳虚血による神経症状発現の病態生理にβ-endorphinの関与が推測され,実験的脳虚血12),脳虚血の臨床例に対するnaloxoneの効果が注目されているが,いまだ明確な結論を得るに至っていない.われわれは成猫の左中大脳動脈を閉塞した局所脳虚血実験モデルを用いてnaloxoneの脳血流,全身血圧,脳酸素消費量に対する効果を検索した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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