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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科13巻10号

1985年10月発行

文献概要

研究

脳幹神経膠腫における壊死巣摘出と抗腫瘍剤局所投与

著者: 伊藤治英1 長谷川健2 正印克夫2 黄文正2 林実1 山本信二郎2 宮崎逸夫3

所属機関: 1福井医科大学脳神経外科 2金沢大学脳神経外科 3金沢大学第2外科

ページ範囲:P.1053 - P.1057

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I.はじめに
 脳幹に発生する良性神経膠腫は神経線維に沿って発育するため,脳幹の機能を長期にわたり保持し,発症が遅れる2).一方,悪性神経膠腫は非常に早く進行する.良性も悪性も脳幹腫瘍は極めて多彩な症状を示す.主症状は,①錐体路障害,②脳神経麻痺,③小脳症状,④頭蓋内圧亢進症状,および⑤性格異常,行動異常,あるいは意識障害である7).症状が非特異的なため,脳炎,変性疾患,血管障害,あるいは髄外腫瘍との鑑別が問題となる.椎骨動脈造影や気脳写を駆使しても確定診断までに時間を要し,治療の時機を失する.CTスキャンの開発により脳幹腫瘍の早期診断と詳細な病態把握が可能になり5),それに基づいた手術の有効例を経験し,術式とその適応について再検討が必要になった.自験例の脳幹神経膠腫のCT画像で,中心壊死巣が脳幹表面に露出した症例について,壊死巣部分摘出と抗腫瘍剤Mito-mycin C(MMC)または5-Fuを含んだ徐放剤の局所投与の適応と効果について検索した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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