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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科13巻10号

1985年10月発行

文献概要

研究

実験的脳虚血における脳保護薬剤の効果—虚血と脳波の相関

著者: 大庭正敏1 溝井和夫1 藤本俊一1 吉本高志1 鈴木二郎1

所属機関: 1東北大学脳研脳神経外科

ページ範囲:P.1059 - P.1065

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I.はじめに
 われわれは脳梗塞急性期の外科的治療,特に血行再建術を成功させるために,虚血症状の出現後,刻々と進行する脳の非可逆的障害の進行を抑制,防止する薬物—脳保護物質—について研究を重ねてきた23,24,26,27).そしてこれまでの一連の研究から11,12,25,31,32),遊離基捕捉作用により生体膜の過酸化反応4-6)を抑制すると考えられるmannitol,vitamin E,dexamethasoneの3剤と,人工血液として開発された3,4)perfluorochemicals(PFC)の併用投与療法が虚血脳に対して極めて優れた保護作用をもたらすことを明らかにした7,8,27).ただし,これらの併用療法に関する実験的検討は虚血開始前の薬剤投与(pretreatment)による効果を検討したものであり,実際の臨床ではこのようないわば予防的投与ができる場合はむしろ例外的であり,さらに発症直後より治療を開始し得たとしても虚血組織への薬剤の到達には種々の問題点がある.そこで本実験では脳血流量を自在に調節できる脳虚血モデルを用い,最初に程度の異なる虚血状態を作成し,一定の虚血状態を持続させた時に脳機能がどのような自然経過をたどるかを観察し,次にこれら各々の虚血状態に対して,上記4剤の併用療法を行い,虚血後,何時間までに治療を開始すれば,その有効性が期待できるかを脳波を指標として検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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