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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科13巻11号

1985年11月発行

文献概要

研究

脳動脈瘤と前大脳動脈の形態的要素およびいわゆる血管奇形との関連性について

著者: 北見公一12 上山博康1 安井信之1

所属機関: 1秋田県立脳血管研究所脳神経外科 2市立札幌病院救急部脳神経外科

ページ範囲:P.1161 - P.1167

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I.はじめに
 前大脳動脈(ACA)は発生学的には内頸動脈の2終枝の1本であるprimitive olfactory arteryから生じ,20−24mm胎児(40日目)の頃より内側の枝が主幹となって,終脳の発達に伴い大脳半球内側面を灌流するようになる12,18).また,叢状だった前交通動脈も同じ頃はっきりとした血管となって,左右の前大脳動脈を大脳縦裂基底部にて連絡する12,18).この時期に前交通動脈近傍の血管奇形,前大脳動脈水平部(A1部)の低形成や無形成などの異常が発生するとされる.前交通動脈近傍は脳動脈瘤好発部位の一つであるが,母血管となるべきA1部には形態的なvariationが多く,また以前より一側A1の低形成,無形成例には動脈瘤が合併しやすいとの報告がある1,5-7,22,24,25).同部の血管奇形としてazygos ACAや3本のA2部分よりなる,いわゆるtriple ACA2)などが知られており,A1部の窓形成も報告されている.そしてこれら奇形と動脈瘤が合併しやすいとする報告も多い3,4,6,9,10,19).先にわれわれは,中大脳動脈系13)および内頸・椎骨脳底動脈系14)について血管の分岐形態ならびに奇形と脳動脈瘤発生との間の因果関係を検討してきたが,今回は前大脳動脈系の形態ならびに奇形と脳動脈瘤との関係を検討し,興味ある所見を得たので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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