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症例
呼吸麻痺を伴う上位頸髄損傷—リハビリテーションの段階に至った1生存例
著者: 窪倉孝道1 石川憲一1 西村敏彦1 坪根亨治1
所属機関: 1汐田病院脳血管障害センター
ページ範囲:P.1237 - P.1242
文献購入ページに移動第4頸髄以上の上位頸髄に対する重度の外傷性損傷は呼吸麻痺をきたすことが多いために致命的な外傷といわれている5).現場での救急医療体制のいまだ不充分なわが国では,そのほとんどが死の転帰をとっていると考えられ,受傷直後から呼吸麻痺を伴う上位頸髄損傷患者の蘇生に成功し,社会復帰を目指す段階にまで回復した症例の報告は,われわれの渉猟し得た範囲では見られない.最近われわれは,交通外傷による環椎前方脱臼を伴う軸椎歯状突起骨折を生じ,心肺機能停止状態で救急搬入されながらも蘇生し,吸呼麻痺を伴う四肢麻痺の状態から病状の目覚しい改善を示した症例を経験した.同部の損傷は神経外傷学的な立場から見ても,いくつかの特徴6,10)があり,本症例もその経過中興味ある所見を呈したので併せて報告する.
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