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症例
Empty sellaを伴うACTH依存性クッシング症候群の3例—特にSelective venous samplingの診断的意義
著者: 山本直人1 根来真1 横江敏雄1 市原薫1 中根藤七1 桑山明夫1 景山直樹1
所属機関: 1名古屋大学脳神経外科
ページ範囲:P.1323 - P.1328
文献購入ページに移動empty sellaとは,1951年Busch2)により,はじめて用いられ,その発生病理によりprimary empty sellaとsecondary empty sellaに大別される.一般的に,前者はトルコ鞍隔膜の先天的な形成不全により,くも膜下腔が鞍内に陥入し,髄液の拍動が伝達され,下垂体組織の圧排,さらにはトルコ鞍の拡大をひきおこすものとされ,また後者は,下垂体腺腫に対する手術あるいは放射線治療後に発生するものである.このempty sellaが,しばしば下垂体腺腫に伴うことはよく知られており,現在までにいくつかの報告がみられるが,クッシング病においては極めて稀である、クッシング病では,micro-adenomaが大部分であるが故に,empty sellaを伴う場合には腺腫の診断は一層困難となり,しばしば異所性ACTH産生腫瘍との鑑別診断に苦慮することとなる.
われわれは,empty sellaを伴うACTH依存性クッシング症候群の3症例を経験したので,selective venous Samplingを中心とした検索結果を報告するとともに,empty sellaの発生病理をも含め,若干の文献的考察を加える.
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