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文献概要
解剖を中心とした脳神経手術手技
頭蓋咽頭腫の手術
著者: 鈴木二郎1 池田秀敏1
所属機関: 1東北大学脳研脳神経外科
ページ範囲:P.479 - P.490
文献購入ページに移動最初にcraniopharyngiomaの摘出を試みたのは1910年のLewis15)のようである.そして,1949年のGordyら9)の積極的なcraniopharyngiomaの全摘出の試み以来,一時,世界的に全摘術が施行されるようになったが,手術死亡率も25-57%と高率であった9,10,16,18).しかし,1952年のIngraham13)に始まるステロイドホルモンの使用や,近年の手術用顕微鏡の導入により,手術死亡率の減少が得られるようになった26).
craniopharyngiomaは組織学的には良性であり,手術的に全摘するのを理想とする.しかし,craniopharyng-iomaの多くが視床下部,下垂体系を巻き込んでおり,腫瘍の全摘が必ずしも最善の治療に直結するとは限らない.腫瘍の性格,占居部位,患者の年齢などを考慮した上で,useful survival timeの延長,recurrence rateの減少を最大限にはかる方策が望まれる1,5).そのためには,抗癌剤を用いたchemotherapyやradiotherapyの併用も考えねばならない.
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