文献詳細
文献概要
症例
Fibromuscular dysplasiaに合併した中大脳動脈瘤の1例
著者: 今屋久俊1 小林士郎1 岡田卓郎1 村山享一1 中沢省三1
所属機関: 1日本医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.653 - P.658
文献購入ページに移動動脈の線維筋性形成異常症(fibromuscular dysplasia,以下FMDと略す)はいまだ原因不明の疾患であり,病理学的にsegmentalな中膜の過形成と,その両隣りの中膜の破綻による動脈瘤様の拡張をみるのを特徴としている.1938年にLeadbetter & Burklandが腎動脈壁内の"mass of smooth muscle"として1例報告して以来,腎動脈FMDは腎性高血圧の原因の1つと考えられてきた7).一方,頭頸部の動脈にも同様の病変が起こることが,1964年Palubinskas & Ripleyらの報告17)以来知られてきており,特に若年から中年の女性のアテローム硬化によらない内頸動脈狭窄のもっとも一般的な原因として考えられるようになっている8).頭頸部のFMDは無症状のものもあるが,TIA,脳梗塞あるいはくも膜下出血として発症するものもある.
われわれは頭部外傷の患者に脳血管撮影を施行したところ,中大脳動脈瘤と頸部動脈系のFMDを合併した症例を経験したので,その相関について文献的考察を加えて報告する.
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