文献詳細
文献概要
症例
大動脈炎症候群に伴う破裂脳動脈瘤の1例
著者: 水野誠12 山内康雄1 岡信行1 染田邦幸1 松村浩2
所属機関: 1市立宇和島病院脳神経外科 2関西医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.661 - P.667
文献購入ページに移動大動脈炎症候群とは,大動脈およびその主要分枝をおかす後天的慢性非特異性炎症のために,その内腔の狭窄あるいは閉塞をきたすことによって生ずる諸症状を総括する呼称であり,現在では,脈なし病,高安病とほぼ同義語として用いられている.本症候群は決して稀なものでなく,特に本邦の若い女性に好発することが知られている.厚生省調査研究班による本症2,122例の集計10)によれば,男女比は1:7.9で,症状発現時の年齢は20歳台がもっとも多い.一方,大動脈炎症候群に脳動脈瘤を合併することは極めて稀であり,文献上現在まで7例の報告3,7,11,17,24)があるにすぎない.今回われわれは,大動脈炎症候群に脳底動脈分枝部動脈瘤を合併した1症例を経験したので,症例の詳細を呈示するとともに,過去報告された7例を含め,その臨床的特徴ならびに脳動脈瘤の発生機序につき考察を加えた.
掲載誌情報